扉の向こうに入ると、そこはだだっ広いLDKで、数人の男女がいた。
ソファーに並んで腰かけていたり、ワイングラスを手に向かい合っている。
一見してホームパーティーのようだ。
何これ……?
肝心の高山さんの姿は見当たらない。
「あの、……高山さんは?」
隣に立つ岩崎悠大を仰ぎ見ると、
「ああ、高山さんは都合がつかなかった」
思いがけない答えが返ってきた。
「けど、ここにいるのは全員、テレビ番組のプロデューサーさんだから。お願いすれば、仕事くれるよ。ねえ、坂井さん」
坂井さんと呼びかけられたのは、ソファーに深々と腰掛けている四十歳くらいの男性だ。
その隣にはまとわりつくようにして、若い女の子が座っている。
その娘の太股に手を這わせながら、「坂井さん」はニヤついた瞳で私を見た。
「いーよ、とーぐんに仕事回せばいいんでしょ? お安い御用」
それはどうもありがとうございますだけど……なんか違う。
私が求めていたのはコレジャナイ感が、ひしひしと。
高山さんの、透琉くんへの誤解を解いて、とーぐんの芸能活動を円滑に、と思ったまでだ。
「でも勿論、タダでとは言わないよ」
坂井さんがそう言葉を続けると、隣の彼女がえ~と不満げな声を上げた。
「やだあ~、リオにちょうだい。とーぐんに、仕事あげる必要ってなくな~い? 売れっ子じゃ~ん」
くねくねと身体を揺らし、密着した酒井さんの腕に胸を押し当てる。
鼻の下を伸ばした酒井さんが、むにむにとそれを揉み始めた。
「ん~、そうだなあ~」
なんて露骨な色仕掛け!
唖然としていると、後ろから声がかかった。

