「菜々ちゃん……ごめんね」

「え?」

「楽しみにしてくれてたのに」

「う、ううんっ……制服なら、またいつでも。コスプレしてくれたら」

 って。どんだけ見たいんですかって感じだよね。
 制服マニアみたいでお恥ずかしい!

「うん。じゃあ今度、菜々ちゃんも一緒に」

 透琉くんが笑う。
 どこかエロティックな笑みだ。

「うおー元気出てきたあー。僕チン元気、ボッキッキー!」

 そう言って透琉くんはひょいと片足で立ち上がった。
 もうギプス生活も慣れたもので、「相棒」と呼んでいる松葉杖も使いこなしている。

 私のほうがヨモヨモしてしまって、透琉くんの順応性の高さには本当に感心する。

 けど、ギャグのセンスには感心できない。
 つい冷たい視線を向けてしまっていると、透琉くんは苦笑いした。


「ごめんね、馬鹿で下品で芸人で。芸人と付き合ってるってさあ、やっぱちょっと言いにくいでしょ。自分が笑われるのは本望だけど、菜々ちゃんが俺と付き合ってるせいで、笑われたり馬鹿にされたりってのはヤだし。幸也さんみたいに、俳優路線で名前売っとくのもいいかなって思ったんだよね。月9出てるとーると付き合ってるって言ったら、ちょっとは自慢できるかなって」

 え? んんっ?

「自慢できるかなって……私が?」

「うん。ドラマに出てるような芸人なら、付き合ってるって言っても恥ずかしくないでしょ?」

 透琉くんはいったい何を言ってるんだろう。