いつものように、講義が終わる。
気が重い……。
だらだらと机のものを片付け、鞄にしまう。
ばっくれたい!ばっくれたい!
ばっくれたーい!
「はぁっ…」
思ったよりも盛大なため息が出る。
こっちは佐原さんに始まりあおいくんまで居なくなったのに!!
大して遠くないカフェまでの道のりを歩く。
カフェへ入るとさっきまでの席にさっきの男の子が座っていた。
「あー……居るし。ってかあれ?」
「あ、先輩お疲れ様です。あの、これ。」
と彼が差し出したのはミルクティー。
「ありがとう」
私の大好きな飲み物。気が利くなぁ。
「さっきも飲んでたから好きなのかなって思って」
頭の後ろを掻きながらはにかむ。
うん、可愛い。
「うん大好き。ありがとう。ていうかさ、早川くん駅の近くでバイトしてるでしょ?」
「え?してますけど、」
「あそこのコンビニ、よく使うんだよね」
「え!全然記憶にないです!こんな綺麗な人がいたら覚えてる筈なのに…」
早川くんは眉を八の字にしてしょんぼりしてしまった。
「ふふっ」
男っていうより男の子、しかも弟のような可愛さで、つい笑ってしまった。
「先輩?」
今度はきょとんと目を丸くして首を傾げる。
「ごめん。ふふっ、早川くん可愛いくて」
「先輩、俺一応男なんすけど」
唇をとがらせて拗ねてぷいっと横を向いてしまう。
「いやー早川くん、なんか可愛い。いちいちツボにはいる。」
「……全然嬉しくないっす」
横を向いてしまっているから表情は見えないが、多分まだ拗ねている様子。
「はぁー、面白い。」
ここ最近の嫌なことが、早川くんのおかげでスっと無くなった気がした。