布団の中で…

  いつもの様に抱き寄せられ、私は土方に背を向けていた。

     土方「んで?」

      翔「何が?」

 土方「何が?じゃねぇ。大阪で何が起きる」

  翔「あぁ! 忘れてた。
  大阪力士乱闘事件。元々は別件で取り締まりに行くの。

  で、芹沢さんが夕涼み~って屋形船に乗るんだよね…。でも、斎藤さんが腹痛起こしてみんなで船を降りるんだけど…

  橋でお相撲さんと道を譲る譲らないで喧嘩になって…田舎侍とかなんとか言われて

 芹沢さんがキレて相手を斬っちゃうの」

  土方「はぁ~~~。何やってんだか…」

 翔「そこは近藤一派が宥めるんだけど、夕方か夜にお相撲さん達が敵討ちだって

  八角棒持って乗り込んで行くのね。

      で、斬り合い。


 総司も怪我するけど、芹沢さんが助けてくれるんだ」

  土方「……………………………………

 それを防ごうとしてるのか…?お前は…」

  翔「うん。でも悩んでる。防ぎたいとは思ってるんだけど…それで近藤さんと土方が和解させて、壬生で相撲するんだよ。

 だから壬生浪士組にも彼方側にも結構なお金が入るし、壬生の人達とも仲良くなるきっかけにもなる」

  土方「………死ぬ奴には悪いが…このまま遂行させよう」

  翔「……結局…私は何も出来ないのかな…」
  
  土方「お前は何を恐れている…」

  翔「…一人残されること…未来に帰ること…大事な人達の死を知っているから…見届けなきゃいけないこと…」

  土方「……人はいつか死ぬだろ…俺達は武士だ。いつ死んでも悔いはない…」

  翔「…私も自分が死ぬことは怖くない。大事な人を失うのが怖い。

 土方は…近藤さんが死ぬとしても…武士だから仕方ない…って言えるの?」

  土方「…………………………………………」

  翔「………負け戦でも死ぬまで戦う?」

  土方「あぁ…。近藤さんが望めばな!」

  翔「最後の一人になっても?」

  土方「あぁ…」

  翔「……………………………………」