燃えさかる炎、光の洪水。ここは、世界で一番明るい国、火の国。
お城ではお祭りが行われていた。今日はこの国の第3王子レオンの16歳の誕生日である。

たくさんの国から来た大臣たちが、次々とレオン王子の前に現れ 、挨拶を交わす。
たくさんの訪問客にほとほと疲れたレオンは、こっそりと窓際に向かった。ソファに座ると、大きなため息をついた。
窓の外にも人があふれていた。美しいドレスで着飾った姉や妹たちに群がる大臣たち。我が国の元老員どもの息子や娘たちも、ここぞとばかりに着飾っていた。
そのきらびやかなドレスの向こうの森の中に、キラリと光る物があった。目を凝らしても良く見えない。 手のひらに炎魔法を出しても良く見えない。外にいる連中は誰も気がつかないのだろうか。

「王子、こんなところにいては行けません、早くお戻りを」
窓の外に気を取られていると、背中から聞き覚えのあるドスの利た声がする。睨みをきかせてそばに来たのは、お目付け役で3歳年上のダンだった。
「もう疲れたよ。ちょっと休ませてくれ」
「いけません、皆さん、誰のためにお集まりだと思っているのですか」
「誰のため?自分の国のためだろう?あれをみろよ。俺のお祝いにかこつけた、集団見合いじゃねえか」
「だからこそです。あなた様こそが素晴らしいお相手を見つけ、この国のために…」
「そういうのは兄上たちにお任せするよ。俺はパス」
レオンは立ち上がり、扉の方へと向かった。
「どちらへ?」
「トイレ!」
扉から外へ出たレオンは、窓から見たあの光の方へこっそりと向かった。
ダンはこっそり王子の後に付いて行った。