「…先生には沢山助けてもらいました。


だから…今までありがとうございました。


もう迷惑はかけません。」


先生からの返事は無い。


言い終えた私は、胸の痛みを必死で堪えていた。


自然と涙が溢れてくる。


「…今、どこにいますか?」


長い沈黙のあと、先生は私にそう尋ねた。


「…どうしてですか?」


私は泣いているのを悟られないように、明るく聞き返した。


またほんの少しの沈黙の後、先生は小さく「だって…」と言った。


「……これで最後にしますって言われて、しかもその連絡が電話だけ…っていうのは、なんか嫌じゃないですか。」


私は何も言えなかった。


「…これでもうサヨナラするのなら、最後に会って話をしましょう。僕はそうしたい。」


私は少しだけ考えて、「〇〇公園に居ます。」と応えた。


先生は場所にちょっと驚いたようだったが、「わかりました。すぐに行きますから。」といって電話を切った。


あの時のように、泣いてる顔なんて絶対に見せない。


私はそう決心をして、ひたすら何も考えないようにじっと夜景を眺めた。


案外すぐに涙も止まり、不思議と穏やかな気分になっていた。


これでもう大丈夫…あとは何があっても普通に接していればいい…


心の中でひたすらそんな事を繰り返していると、先生は本当にすぐにやってきた。


「おまたせしました。…やっぱりココ、なんだか怖いですね。」