【完】私と先生~私の初恋~

「どうしてですか…」


「…ダメだからです……」


「答えになってません…!」


先生の顔が、だんだん苦しそうになっていく。


「…やめてください…」


「どうしてですか…!」


「やめて…」


「嫌です!」


「やめてお願いだから…」


押し問答を繰り返していると、もう笑顔は消えていた。


それどころか少し怯えた様な瞳で、苦しそうに私を見ている。


その事に気がついて、よく解らない痛みが胸をはしる。


それでも私は、何かを振り払うように首を振り続けた。


「嫌です私は先生が好きです!先生だって知ってた筈です!


私はずっと…っ」


その瞬間、体がグイっと引っ張られる。


ふわっと先生の匂いがする。


私は先生の腕の中に居た。


ドキっとして、一瞬だけ世界が静かになる。


「…お願いだから……」


グイグイと、それでも優しく締め付けてくる腕に応える様に、私は先生の背中に手を回した。


抱きしめられた温もりと、拒否されている切なさで、心と体が混乱する。


「…どうしてですか…ダメって言ったりこんなことしたり…」


何故だろう…涙が止まらない。