【完】私と先生~私の初恋~

微妙な空気が流れる。


私の目にはいつの間にか、涙が溢れ出てきていた。





「……………僕は…ダメですよ。」





先生の穏やかな優しい声に、息が詰まった。


そう言った先生の、顔が見れない。



「……どうしてですか…?」


破れてしまいそうな喉の痛みを堪えながら、私はやっとで呟いた。


「……どうしても。」


「…答えに…なってません。」


「……僕の事を好きになったら、ダメです。」


泣き顔を見られないように、下を向いたまま聞き返した。


「…だからどうしてですか?」


先生の柔らかい溜め息が聞こえる。


「…どうしても、です。」


喉の痛みが激しくなる。


言いたい事、聞きたい事、山ほどあるはずなのに、私はそれを言葉に出来なくて黙り込んだ。


近くにいる先生が、とても遠くに感じる。


思い切って顔を上げて、私は先生を見つめた。


何故だか、目をそらしてはいけない気がした。


「……嫌です。」


「……ダメです。絶対にダメです。」


「嫌です。…無理です。」


「ダメです。」