【完】私と先生~私の初恋~

母はわざわざ私の部屋の前まで来て何か叫んでいたが、私はイヤホンをつけるとただひたすらに無視をした。


高校最後の夏休みが始まる。


母とはあれから一切話すことも顔を会わせる事も無く、たまに赤ん坊の泣き声こそ聞こえてきたが、三人がどんな生活をしているのかさえ知らずに過ごしていた。


そんなある日。


私は物凄い衝撃で目が覚めた。


ビックリして飛び起きると、一階のリビングから叫び声と赤ん坊の泣き声、男の怒号が聞こえてきた。


時計を見るとまだ夜中の3時頃。


急いで下に降りると、荒れ果てたリビングでは、血だらけの二人が取っ組み合っていた。


「ちょっと!なにやってんの!!!!!」


驚いて二人を引き剥がそうとする。


瞬間、物凄い力で吹っ飛ばされ、私は強かに背中を打った。


痛みで息が出来ない。


苦しくて悶絶していると、母はギロリとこちらを見た。


般若のような恐ろしい顔に、背筋がゾッとする。


母は何か絶叫しながら喚いたと思うと、物凄い速さで私に殴りかかった。


ガツン!と目の辺りを殴られる。


反射的に私は母を突き飛ばした。


勢いよくキッチンまで吹っ飛ばされた母は、今度はその場にあった包丁を握ってこちらに向かってくる。


「おい!!!!!!!!!」


流石に男が母を止めに入る。


男に強く腕を握られた母は、包丁を床に落とした。



私は苦しさと恐怖と混乱で固まっていた。