建物の影に隠れて息を整えると、とたんに虚しさが襲ってくる。


どうして私がこんな目に…


どうして私の親はあんななんだ…


どうして…どうして…


もう頭の中は、どうして?しか浮かんでこなかった。


一通りどうして問答をした後、ぼーっとした頭でカバンをまさぐり携帯電話を取る。


「せんせいたすけて」


私はほぼ無心で、関岡先生にメールを送った。


メールを送った瞬間、涙が溢れてくる。


携帯を握り締めながら泣いていると、先生からの返事はすぐに返ってきた。


「どうしました?」


文字なのに話しかけられているような気がして、私はまた息が詰まった。


「もうやだ」


呼吸にならない呼吸のせいで、私はその一文しか送れなかった。


深呼吸を繰り返していると、またすぐ携帯が鳴る。

「090-……」

本文には携帯番号らしき数字だけが綴られていた。


私は止め方のわからない深呼吸を繰り返しながら、その番号を押した。


ワンコールも鳴らないうちに、先生は電話に出た。


「もしもし!?」


受話器の向こうから、先生の声がする。


「せんせい…」


「どうしたの?なにがあったの?」


「せんせい…………」


涙が溢れて、上手く言葉がつなげない。