全員の目がどうしたんだ?という不思議そうな目だ。

しかし、彼女たちの興味はすぐに逸れて、全員の視線は散っていく。

注目を浴びていないことにホッとした。

そして使い捨てのおしぼりで口元を拭き、改めてなっちゃんの方を向く。



「だから、小春ちゃん」

「うん、なに」

「好きな人……もしくは彼氏できたんでしょ?」



確信しているような、自信満々な表情で告げるなっちゃん。



いやいやいや。

なっちゃん、あたしのどこを見て言っているんだろうか。




「いないよ、そんな人ひとりも」



そう返して、カレーを口に運ぶ。