俺のぶかぶかのジャージを着た茉璃を連れて来た場所は部活棟。
部室がずらーっと並ぶところで、男バスの部室を見付けてそこから少し離れた所に立つ。
「何するの?」
「まだ何もしない。張本人が来てないし」
「そっか……。ねぇ、助けないって言ってたのにどうして探してくれたの?」
「それは………アレだよ。お前の友達が泣きながら探してって来たから……」
「玲菜が!あたし……ほんとにみんなに迷惑かけた……」
俺も素直になれない。
好きだから探しに来たって言えば、かっこいいのに嘘をつく。
器用にできればどんだけ楽か……。
「ごめんなさい……ほんとに……」
「分かったからもう泣くな。めんどくせー」
「なっ、泣かない!」
ゴシゴシ目を擦るから、俺はアイツの細い指を掴んだ。
「目……痛くする。もう泣くのは十分だろ」
「……十分です…。もう嫌だっ」
そんな悲しい顔で笑うなよ……。
俺はお前の笑顔が見たくて、あの素直な笑顔が好きだから探したのに。

