それでも、なかなか触れない唇に焦らされてる気分。


俺の茉璃ちゃんはこんなに焦らすのうまかったっけ?



「早くしろって」

「こ、心の準備がですね?とっ、整ってなくてダメで…」

「早くしてくれないとダメだわ~。疲労増してく……!」


ほんの一瞬。


たった数秒だけ茉璃の唇が触れた。


目を開けると、下を向いて両手で顔を隠してる茉璃。


照れてる仕草可愛い。



「短すぎ。もっとながーいの期待してたのになぁ~」

「出来るわけないですから!あ……ご、ごめんなさい!」

「え、どしたの?急に」


制服のポケットからティッシュを出した茉璃は俺の唇を拭く。


あのさ、キス出来ないのにこんなこと出来るのか。


こっちのが案外恥ずかしいけど。


「あたしのリップ付けちゃった……ピンク色付いてる…」

「いいよ、別に」

「へ?」

「せっかくだから、茉璃が今付いてるリップ全部取るわ」

「隼世くん…?……んっ」


慌てる茉璃が可愛くて俺からキスした。