次の日の朝、欠伸をして教室に入ると恭平が慌てて俺の腕を掴んだ。
朝から何事だよ……。
「隼世!男バスの有阪殴ろうとして、ケンカになったってほんと?」
「じゃあ逆に聞く。俺からケンカふっかけたと思う?」
「それは……思わないよ。でも、有阪ともめたのはほんとだろ?」
あー……噂って恐ろしい。
たった半日でクラス中どころか、学年中に広まったらしい。
広めたのはきっと有阪以外の女々しい男バス。
腹立つな……コノヤロ。
「でも安心して!俺は隼世の味方だし、隼世派と有阪派に女子も別れてるから」
「な、何それ?」
「女子の支持率だよ!今のところは五分五分ってとこかな」
「いらない情報どうもありがとう」
そう言うと右腕をぐいっと引っ張られる違和感。
嘘だろ……。
隣にいたのは、涙目になって俺を見上げる茉璃だった。

