俺様不器用男子の甘い愛情




名前呼びになっただけで距離縮まった気がしてバカみたいに浮かれる。


別に名前呼びなんて今までは特別じゃなかったのに。


俺ってもしかして本気でアイツのこと………



「隼世~。今日鍵当番だよね?」

「は?あ……うわぁー……マジかよ」


部活も終わって部室で着替えてる時、恭平に話し掛けられて我に返る。


鍵当番は一番最後に部室を出て、職員室に鍵を返しに行くなんともめんどくさい仕事。


部活やってる以上は文句言えねぇや……。



「じゃ、隼世!また明日!」

「おう。さっさと出ろ。じゃないと俺が帰れねぇから」

「まぁそう言わずに~♪痛っ!」


恭平の脇腹を一発叩いて部室の鍵を閉めた。


一人で部室が並ぶ部活棟を歩いて職員室に向かう。


男子バスケ部の部室の前を通った時に偶然聞こえてきた声と名前。


「茉璃ちゃんって子がさぁ……」


声は有阪晃大。


別に立ち聞きが趣味ってわけじゃないけど、なんか気になる……。


部室の前で足を止めて話に耳を澄ませた。