あ………運悪いですね、あたし。
玄関に一人で立ち尽くす。
外は、どしゃ降りの雨でゲリラ豪雨とはこのことですかって状態。
折り畳み傘も忘れたし………
帰れません!
6月の雨を完全にナメてました……。
「茉璃ー。どうしたの?」
「あっ、有阪くん……。その、傘忘れちゃって」
「ほんとに?じゃあ、俺の傘入りなよ。部活も急遽中止になったし」
「ありがとうございます……」
ニコッと笑う有阪くんの隣に並んで歩く。
家が逆方向なんですよね……。
別れたあと、どうしよう……。
「あのさ、ウチ寄ってく?バス降りてすぐだから。茉璃は家遠いんだよね?」
「遠いけど大丈夫です。バス停までで十分ですから」
「せっかくだから!ねっ?」
「……分かりました。少しだけ…」
「大丈夫だよ。何もしないから」
嘘っぽい笑顔。
だけど今は、その言葉を信じることしか出来なくて……。
あたしは、有阪くんのお家方面のバスに乗り込んだ。

