現に今あたしの隣にいるのは有阪くん。
嫌でも拒むことが出来ない。
こんなに窮屈で無理矢理な恋愛は、何も楽しくないよ……。
有阪くんは楽しいの?
「茉璃。キスしよっか」
「……んっ」
「かわいいね。俺以外の男と付き合うなんて勿体ない」
「そんな……かわいくないです」
「控えめなとこも好きだよ」
優しく頭を撫でられる。
隼世くんじゃなきゃ、触れられても全く嬉しくないのに。
むしろ、有阪くんにされるのは恐い。
逆らえない立場だから。
「そろそろ部活行かなきゃ。茉璃から離れるの寂しいな」
「部活頑張って下さい……」
「ありがと。やっぱ主将ってめんどくさいかもねっ」
そうだ………有阪くんはバスケ部主将。
隼世くんはサッカー部主将。
それなら、部活の大変さ分かってるのにどうしてケガさせる…なんて言うんですか。
胸が切なくきゅっと締め付けられる。
「茉璃。好きだよ」
「………あたしもです」
また嘘を重ねた。

