最悪な囁き。
サッカー部主将って、隼世くんのことじゃないですか……。
ケガさせる?
3年生で今年が最後のチャンスなのに、ケガなんてしたら………
隼世くんが傷付いてほしくない。
大好きな君のためなのです。
「有阪くんと付き合ったら……ケガさせませんか?」
「もちろん!どうする?」
「それなら、あたしは有阪くんと付き合います。今後絶対に隼世くんに近付かないで下さい」
「交渉成立。今日から、俺の彼女ね?」
満足そうに笑う有阪くんが悔しくて……。
下を向くと、細い指でクイっと顎を上げられて唇が触れた。
リップ音付きの最悪なキス。
強引なキスは、こんなにも幸せじゃない。
「あ……これって、元カレ隼世くんとのペアリング?」
「い、いや……これはっ、その……」
「はい、没収。ダメだよ?」
スルッと抜けられた指輪。
返して………。
あたしと隼世くんを繋げるモノ、返して。

