それは突然の呼び出しから始まった。
放課後、隼世くんにバイバイをして一人で帰ろうとしてたところ。
下駄箱であたしを呼び止めたのはその張本人で………。
「茉璃ちゃん。ちょっと……時間もらえるかな?」
「有阪くん……。はい、全然いいですよ」
「ほんとごめん。……ありがとう」
ニコッと人当たり良さそうな笑顔をあたしに向けた。
素直にあたしも有阪くんの後ろを着いてった。
危険信号だとも知らずに─────。
着いたのは、部活棟のバスケ部の部室。
二人きりの空間が妙に緊張して。
「あのね。俺……茉璃ちゃんのこと大好きなんだ。今はもう、君しか見えない」
「あ……えっと、ありがとう。有阪くん」
「それって肯定的意見だ、って思っていいの?」
「ううん……。嬉しいけど、あたしには隼世くんがいます。なので……」
“ごめんなさい”の言葉は、きつく抱きしめられ掻き消された。
え………どうして?
あたしは隼世くんの彼女ですよ?
次の瞬間、色気を含んだ声であたしの耳元で囁く。
「付き合わないと………サッカー部主将ケガさせるよ」

