呆れながら部活棟を歩く。
俺が別れたって噂になってから、ずっとこの状況の繰り返し。
顔だけで寄って来られるのはヤダ。
こんな時に向かいから大嫌いで会いたくないヤツ。
有阪だ………。
「あー!イケメン隼世くんだ。お久しぶり~♪」
「うわ。今、お前にすげー会いたくねぇ……」
「そんなつれないこと言わないでよ。茉璃ちゃんの元カレでしょ?」
「うっせ。早く部活行け腹黒男」
「ヒドイ言い種だなぁー」
当たり前だろ。
誰が、彼女盗みやがった男と仲良くするか。
有阪の横を通り過ぎるところで、また突っ掛かってくる。
「茉璃ちゃん……あの子ってほんと、かわいいよね」
「俺の彼女だから当然」
「訂正!“元”彼女ね」
「元を強調すんな。嫌味か」
クツクツ性悪な笑みを見せる。
アイツ………ほんとに、こんな性悪腹黒と付き合ってんの?
あの茉璃が?
純粋で真面目で泣き虫なアイツが……。
ますます信じらんねぇ……。

