動揺する俺とは真逆に冷静な顔で、俺の腕からそっと抜け出す。


え………マジ?


「やっぱり有阪くんが好きです……。忘れられませんでした」

「だったら、そんなツラそうに笑うなよ」


切なそうに笑う茉璃を見てたら、俺まで苦しくなる。


そこで嫌でも聞き覚えのある声が、静かな体育館裏に響いた。


「茉璃~」

「あっ、有阪くん……」

「人の女に手出すのやめてくれる?行こっか、茉璃」

「あ……うん……」


肩を抱かれて目を逸らすアイツ。


ほんとに、有阪が好きで付き合ってんの?


その割りには茉璃が幸せそうに見えない………。



いや……もしかしたら、俺がそうゆう風に思ってるだけかも。


だって俺はまだ茉璃がすげー好きだから。



絶対に、有阪だけには茉璃を渡したくなかったのにな……。


ただ、茉璃と有阪の背中を見ることしか出来なかった。


なんも言葉なんて出るはずねぇじゃん………。