背中には本棚、目の前にはニヤッと満足げにあたしを見下ろす隼世くん。


この通り、追い詰められてます。


こんなに間近だと心臓がドキドキです……。


「なぁ、茉璃」

「は、はいっ!」

「お前の大好きでたまらねぇ彼氏は誰?」

「へっ?えっ、えっと~………は、隼世くん……」

「それなら、勉強教えろよ」


ほぼ脅し!?


あたしが頷くと、いたずらっ子みたいに笑って耳元で囁いた。


「ご褒美あげてもいいけど」

「ご、ご褒美……?」

「お前の働き次第だけどな。点数上がんなかったら茉璃も一緒に補習コース」



そんなの嫌だぁっ!!


あたし一回も補習に引っ掛かったことないのに~!!


避けるためには隼世くんの点数をグンと上げなくちゃ!


「隼世くん!点数上がったら?」

「イイコトしてあげるっ」

「笑顔が黒いのですが……」

「ん~?」


小声で呟いたあたしの言葉を聞き返すけど、首をぶんぶん振って誤魔化した。


絶対に点数上げてみせますからね!