やっと唇が離れると、色気を帯びた隼世くんの唇から一言。
「ごちそうさま」
それはとても機嫌が良くて明るいトーンで。
ダメですよ……隼世くん。
そうやって余裕そうに、いつもあたしの心を掻き乱す。
「教室戻るぞ。時間そろそろじゃん」
「だ、誰のせいでこんなになったと…」
「ん?何?」
「なんでもないです!!」
俺様に逆らったら次こそ、何されるか分かりません!
あたしは数歩距離を置いて、隼世くんの後ろを歩いた。
同じクラスのメイドカフェでも、あたしは接客じゃなくて呼び込み担当。
チラシを持って、他校生がたくさんいる校内を回ります!
一人で回る予定です。
………一人で回る予定だったんです。
「どうして隼世くんが、あたしのところに?」
「ナンパ防止」
「されるわけないです!今までされたことないのに……」
「俺の無自覚な茉璃が、ふら~っと着いてったら困るんだよ」
無自覚、無自覚って………
あたしかわいくないから自覚も無自覚もありませんよ!

