【完】ズルい瞳[短編]




「ごめんね蒼ちゃん。こんなところに呼び出して」




「あぁ。今日お前のウチに行くつもりだったんだけどな」




“蒼ちゃん”と呼ぶことを咎められなかった嬉しさで




思わず胸がいっぱいになる。




だけど、言わなきゃ。




「にしても何か……あっという間の1年だったな?」




そう言って、きつく締められたであろうネクタイを緩めようとする蒼ちゃんに




「ま、待って!」




私は慌てて制止をかける。




「な、なんだ。どうした?」




「いいから黙って話を聞いて」




戸惑う蒼ちゃんを余所に深呼吸する私。




大丈夫、落ち着いて。




自分にそう言い聞かせながら。




「あ、あのね蒼ちゃん……1年間本当にありがとうございました」




「うわっ?何だよ」




「今日で私はこの高校を卒業するけど、それと同時に……」




頑張れ、頑張れ私。




「と、同時にって?」




「…………」




「おい、あおい?」




「わ、私……」




「あぁ」






「わ、私!蒼ちゃんからも卒業するね」