【完】ズルい瞳[短編]




そして、文化祭当日。




「あおい~!超かわいい♪」




渋々着替えたメイドの衣装は




クラスのみんなには好評価だったらしい。




中でも




「あ、あ、あおい姫……」




信之介くんの驚きようは群を抜いていて




女装してるのにも関わらず大号泣。




メイク担当のクラスメイトからは相当お叱りを受けていたっけ。




「ってか信之介。女の姿で泣かないでよぉ~気持ち悪い」




すっかり妖艶なメイド姿に変貌した美佳は




扇子を片手に、そして携帯を片手に毒づいていた。




今日は彼氏の慎司くんも遊びに来るらしく、メイクには相当な力を注いでいた美佳。




恋する女の子は……やっぱり可愛い。




ちょっとだけ羨ましくなってしまう。






そんな時




「おい、ホントにこんな感じでいいのか?」




執事服を纏った蒼ちゃんが、それはそれは気だるそうに教室へと入ってきた。




“キャァァァーッ!!!”




“カッコいいぃぃぃー!!”




耳をつんざく割れんばかりの大歓声が沸き起こる。





だけど、そんな大観衆の中




「………」




「………」





蒼ちゃんの瞳はしっかり私を捕えていた。