【美術室の冷房が壊れちゃったから、今日の活動は中止ね♪】
という、萌香先生からの緊急メールを
「………遅いよ」
美術室の窓を開けた直後に受信する。
萌香先生がそそっかしいのは、今に始まったことではないけど
部長としては悩みのタネだ。
「…………」
このまま帰ることも出来たのだけど、描きかけのデッサンを見てしまったら
創作の意欲も湧いてきてしまう。
「描こうっと」
帰宅を諦め、デッサンの準備に取り掛かる。
そして
キャンバスに筆を乗せ始めた頃
静寂な美術室の廊下を、気忙しく走るスリッパの音が鳴り響いてきた。
きっと萌香先生だろうと思っていた、その足音の正体は
「お前、何してんだよ!?」
息急き切らした蒼ちゃんだった。
「今日部活休みって聞いてたのに、気付けばここの窓が開いてるからよぉ」
「あ……そうですね」
「そうですねって……お前なぁ?こんなとこでやってたら確実に熱中症になるだろが」
「でも午前中はまだ、そんなに暑くないですし」
だから描こうと思ったくらいなのだから。
「バカっ!お前はすぐ時間を忘れて熱中しちまうだろが」
た、確かにそうかもしれないけど
だからって
バカはないよ。

