【完】ズルい瞳[短編]




もしかして




「………萌香先生が煙草、苦手なんですか……って、ハッ!」




心の声が思わず口に出ていたことに驚き、慌てて自分の口を塞いだ。




「は?何で、ここで桜井先生が出てくるんだ」




あからさまに表情を曇らせる蒼ちゃん。




「だ、だって前に2人で飲みに行くとか何とか言ってたじゃないですか!?」




今の私。情けないかな、しどろもどろだ。




ホントはこんな話、聞きたくもなかったのに。




自分のバカさ加減が心底悲しくなってくる。







だけど




「あぁ……あの日は他の先生も誘って行ったし、桜井先生とはロクに話もしてねぇよ」




「え?じ、じゃあ助手席は?」




「あ?あぁ教務主任が乗ってさ、超緊張したのなんのって」




蒼ちゃんはその時のことを思い出してか、おもしろ可笑しく身震いしてみせた。




「…………」




萌香先生は助手席じゃなかった。




安堵と喜び、私はこの2つの感情からホッと胸を撫で下ろしていた。