【完】ズルい瞳[短編]




しばらく、その体勢のまま微動だに出来ずにいると




「お前、美大志望なのか?」




その問いかけと同時に、蒼ちゃんの身体はゆっくりと離れていった。




「…………」




少し物悲しさも募ったけど




あんな格好、誰かに見られでもしたら




……大問題。




教師になりたいという夢を




実現させたに違いない蒼ちゃん。




それを……こんなことで




迷惑はかけられない。




だけど……。




だとしたら……。




蒼ちゃんを好きだと思う、この思い




私のこの気持ち




それさえも迷惑になる……?




「村瀬?」




気付けば……蒼ちゃんが心配そうな表情で、私の顔を覗き込んでいた。




「あ………」




「どうした?」




「い、いえ……何でもありません」




明らかに狼狽えてしまった私を




「………そうか」




それでも蒼ちゃんは知らないフリをしてくれた。