【完】ズルい瞳[短編]




「み、自ら……志願?」




私の頭は……蒼ちゃんのその言葉を




それはそれは自分にとって都合の良いように解釈しようとしていたのだけど




「あ、勘違いするなよ?部活の顧問に空きがあったのは、暇そうなこの美術部と暑苦しい野球部だけだったんだよ」




「…………」




ひ、暇そうって




実に蒼ちゃんらしい意見だけど……。




一気に脱力感が襲う。






「それにしても……まだ絵、続けてたんだな」




蒼ちゃんはデッサン用の椅子に腰掛けると




スーツの内ポケットから煙草を1本取り出した。




「城崎先生、ここ火気厳禁です」




「あ?あぁ、悪い」




少しだけバツが悪そうに首をすくめる蒼ちゃん。




その姿が可愛く見えて




私は思わず笑みを零す。






すると




「やっと笑ったな」




「え………」




「久しぶりに見たから、さ」




そこには驚くくらい優しい瞳で私を見つめる




あの頃のあのままの蒼ちゃんがいた。