月の無い夜中のビルの屋上。 「あら、案外思ったより早く来たのね。 こんなにすぐ、あなたに結びつくとは思ってなかったわ……」 空中からそこへ近付く影を見ると、女独特のねっとりとした声が笑った。 「やっぱり、お前か……」 影はエリアルだった。 彼はコンクリートの枠の上に降り立つと、 ロングコートをマントのように翻し、唸るように呟いた。 すると、女は喉の奥でくくっと笑った。