だが、彼女は俺の言葉に、一瞬顔を曇らせた。 「綺麗、ですか……? 私の名前なんて、無いと不便だからただ『セレナ』と付けられただけです……」 どうやら俺は、触れちゃいけないものを、 思いっきり鷲掴みにしたらしい。 でも、俺が謝るより先に、セレナさんが、 「いえ、何でもありません」 と話題を区切った。 「それより、その足どうなさったんです?」 彼女は、俺のギプスを見て尋ねた。 「ああ、これですか?……これは」