ただ、いつもと違っていたのは、その場から出て行こうとしなかった事だ。

いつもなら居心地の悪さに、さっさと踵を返していただろう。

……あるいは、それが人恋しさの限界だったのか。


テーブルにいたのは五人。

全員が男で、若者もいれば中年もいた。

そのうち既に三人が酔い潰れていて、
残り二人だけの最後の対決だった。

その、片方の男がエリアルだった。

相手の体格の良い中年が、
オレンジ色のライトに照らされていても分かるくらい真赤な顔をして、
無理矢理ビールを流し込む一方で、


彼は涼しい顔をして次々とジョッキを空にしていった。