お母さんに質問攻めにされ、挙句考えても考えても答えの出ない問いが私の疲れている原因。


京子の顔を見たことによって、いつもの私からでは到底考えられないほど弱気になっている。


恋は人を強くすると聞くが、私の場合は逆。


平常心は保てないし、弱くなっている。


恋をしていると自覚してから、何一ついいことを見出せない。



「一時間目、サボうろうか。真琴」



私の珍しい弱気な表情、声音に何かを察してくれたのか、京子が私の腕を引き無理やり立たせた。


突然のことにふらつく体にどうにか力を込める。


近くに居たクラスメートに言い訳を言付けて、京子に引かれるまま教室を出た。



教室に行こうとしている人々の流れに逆らって、私を連れ歩く京子に黙ってついて行く。


そして着いたのはいつもの場所、空手部女子更衣室。


それぞれ一つずつ持っている鍵の一つ、京子ので開錠する。


ガチャリと鍵があき、扉を開くと京子は中へと入って行った。


私もそれに続いて中に入る。


小さな曇りガラスの窓から太陽の日差しが注がれる。



「それで、どうしたの真琴」



いつもの語尾の伸びた声ではない真面目な言葉。


彼女が私のことを気にかけてくれていることがヒシヒシと伝わってくる。


いつもの天邪鬼な私だったら、素直に答えることなんてしないだろうけど、今の私は誰かにこのことを聞いて欲しかった。


自分一人では抱えきれない事柄。