「何〜?なんか、朝から疲れてない?真琴」



教室で机に突っ伏していると、トントンと肩を叩かれた。


顔を上げるとそこには不思議そうに首を傾げた京子が居た。


教室内を見渡せば、まばらにクラスメートたちが点在する。


寝ていた訳ではないけど、全然気づかなかった。


疲れて意識が少し遠くへ行っていたようだ。


それほどまでに、家を出るまで直前までお母さんの質問は絶えなかった。



彼氏でしょ。

彼の名前は。

どこで会ったの。

歳は。

ハーフでしょ。

どことの。

好きなものは。

などなど。



途切れることなく続けられた質問の嵐。


極め付けはなんで気を失うことになったのか、と。


全部に全部、馬鹿正直に答えるわけにもいかないし、出来れば全て答えたくない。


流せることは流して、お兄ちゃんがリビングに入ってきたのと同時に私はそこから逃げ出して、今に至る。


見上げると心配そうな眼差しが注がれていることに気づいた。


暖かな瞳に正直にならざるを得ない。



「京子ー…どうしよう…」



昨日の今日で、正しくは今日、秋月くんに好きだと言ってしまったことを自覚して、どうしたいいのか何も分からない。


解決の糸口が見つからないのだ。