基本的に表情を崩さない秋月くんが微笑んだのだから、当然といえば当然だ。


免疫などついていないのだから。


しかも、今の彼の姿は見慣れたものではない。


フェロモンを惜しげもなく漂わせた姿。


それも相まって鼓動は早くなる。



秋月くんは秋月くん。


例え、人ではない何かだったとしても、彼が彼であること変わりない。


クールでモデルのような容姿と近寄りがたい雰囲気を持っていて、時に優しさを見せる彼。


そんな彼だからじゃないけど。



出会ってからまだたったの一週間しか経っていないとは思えないほどに、秋月くんに想いを寄せている。


人ではないと聞いても。


彼のことをほとんど知らなくても。



私は彼に恋しているんだ。



自分がこんなに惚れやすい体質だったなんて初めて知った。


秋月くんが人でなくても、私は彼に恋してる。


彼が人ではないと言ったからこそ、私は私の気持ちに気づくことが出来た。


それは違うことの出来ない事実なんだ。



「あの、それで。秋月くんの本当の正体って、何なんですか…?」



人ではない存在だと言った秋月くん。


だとしたら、彼は何なのか。


知りたいと思うのは、おかしなことではないと思う。


知ってしまったが最後、知らなかった頃の自分に戻れないとしても。


私は秋月くんについて知りたい。