「今、するんですか?」


「今。ほら、早く」



言って目を瞑る秋月くん。


いつでも来いと言っているような状況。


獣耳触りたいし、こうなったらやるしかない!


意を決して秋月くんの顔に自分の顔をゆっくりと近付ける。


段々と近付く秋月くんの顔。


そんな彼の顔に自分のそれで影が出来る。


後少しという所でパチッと秋月くんが目を開けたと思ったら頭を引かれ一気に距離が縮まった。



触れる唇と唇。


頭を押さえられ逃げることも出来ず、唇を味わわれる。


いつまで続くのかと思ったキスが終わり唇が解放される。



「遅過ぎ」


「だって、恥ずかしくて…」


「ま、楽しかったからいいけど。ほら触ったら」



再び目を瞑った秋月くんの頭には変わらず獣耳が鎮座している。


触るために払った代償があることだし。いわゆる等価交換。


恐る恐る、その獣耳へと手を持っていく。


触れた瞬間、ピクリと動いた耳だったけど、その後はじっと耐えてる様子で。


フカフカした感触と柔らかい毛の手触り。


ずっと触っていてもこれは飽きそうにない。



「気持ちー…」



ピクリと動く耳を触っている時は本当に至福の時だった。



【獣耳彼氏】end…