「何も言うなって言っただろう」


「だって…」


「だから…また、キス。されたいのか?」



耳元で官能的に囁く。ふうっと耳を撫でる息に体の中心が疼いた。


ぞわっと鳥肌が立つが、それは嫌なものではなくて。


体の芯からくる本能的な震えからくるもの。



彼の問いに慌てて首を横に振った。


聞きたいことや言いたいことは沢山ある。


何で抱き締めるのか。何を考えているのか。何で、キスしたのか。私のことをどう思ってるのか。


問いたいけど、また声を出したらキスされると思うと黙るしかない。


またキスされたら、今度こそ腰が砕けてしまうだろうから。


私を見つめる秋月くんの瞳が熱を持つ。



「…きだ。…好き、なんだよ。真琴のことが。仕方なくなんかじゃない。好きだから守ったんだ。何で分からないんだよ…っ!」


「な…っ!そんなの…分かるわけないじゃないですか!」



突然の逆ギレに思わず反論してしまう。


口に出した後、気づいた時には遅かった。


秋月くんのそれで再び口が塞がれた後だった。



「ふ…んっ」



声を出すために離れようとするけど、後頭部を抑えられてそれは出来ず。


何度も何度も角度を変えてはキス、された。


繰り返されるキス。随分と長かった。


朧げな意識と視界の中、秋月くんの唇が離れたのを感じた。


解放された唇に夜独特の冷えた風が当たる。


目の前にある秋月くんの顔が仄かに赤らんでいるのはきっと気のせいではなかった…