夜の帷がおりる中、自分の息遣いがやけに大きく聞こえる。


ドクンドクンと、心臓が忙しなく動き、体全体に血液を循環させている音も耳に残る。


目の前に居る彼がする瞬きの微かな動きでさえ音となって耳に届きそうな。


そんな静けさが緊張を増長させる。


だけど、覚悟を決めないと。伝えるしか、伝えるしかないんだから。



「私が秋月くんから離れようと思ったのは…秋月くんに守られることに耐えられなくなったから。だから、離れようと思ったんです」


「耐えられない?なんで」



黙っていた秋月くんが口にする。


問い詰めるような語尾の強さに怯みそうになる。


でも、口調が強くなるのも頷ける。


私が守って欲しいと頼んだのに、耐えられなくなったから、離れたとか。


秋月くんにしたら意味も分からなくて当然だ。



「だって、秋月くん言いましたよね。仕方なく守るんだって。


そりゃあ、私から守ってくださいって頼みましたよ。


秋月くんからしたら仕方なくだったかもしれないけど。


けど、それを実際に秋月くんの口から聞いたらショックで…耐えられなかったんです。


何か本当の理由があったんじゃないかって…ううん。あって、欲しかったんです。


私が抱いている気持ちと同じものを持っていて欲しかった…」



だって。だって、私は…