「秋月くんはどうして私を先輩から守ってくれようと思ったんですか?」



秋夜さんは私の考えていた秋月くんの意思でを肯定した。


だけど、本当は?本当はどうなの秋月くん。教えてよ。


私は彼に問いかけた。一番知りたいこと。答えによっては勇気が湧いてくる、きっと。


すると、秋月くんは顔を背けると小さく口を開いた。


聞き取れるか取れないかの小さな声で。



「…たから」



たから?何を言ったのか聞き取れない。



「え?ちゃんと言ってください。聞こえないです」


「守りたいと思ったからだよ。不覚にもな。悪いか」



私がもう一度と促せば、彼は唇を尖らせながら、今度は聞こえるくらいの声で言い放った。


最後、睨むように言ってきたけど、そんなの屁でもない。


逆にキュンときたのは気のせいではない。



自分の意思で守ろうと思ってくれたと取っていいんだよね。彼の言葉は。


悪いかなんて、良いに決まってる。


でも、なんで。なんで、私のことを守ろうと思ってくれたの?


だって、私の第一印象って絶対背負い投げでしょ。


秋月くんだって最初背負い投げ女って呼んでいたし。


大の男に背負い投げする女をなんで守ろうと思ったのか。


それが次の疑問として降ってきた。



「私、背負い投げ出来るんですよ?なんで、守ろうなんて…」



「それに理由がいるのか?」


「え?」


「守りたいと思ったから守る。それだけじゃ不満なのか」



腕を組み立つ秋月くんが首を傾げる。