あの日の帰り道、確かに変なことが起きていた。


意識がどこかへ持ってかれる感覚。


思ったように動かない体。


あれが秋夜さんの仕業だったと言うのか。



「そうだよ。秋月に阻止されたけどね」



秋夜さんが肯定する。


ということは、その日を堺に私は秋夜さんにそして、秋夜さんに操られた椎名先輩に狙われていた。


そういうことか。



ショッピングモールの帰り道に狙われた時には秋月くんに彼氏のフリをして貰ってからすでに一ヶ月弱は過ぎていたはず。


だとしたら、秋月くんはまだ私が秋夜さんに狙われる前から私と居てくれたことになる。


仕方なく守り始めたのは秋夜さんが秋月くんを見つける前から。


私が彼氏のフリをして欲しいと言ってからしばらくは秋夜さんにも見つかってなかったっていうこと?


秋月くんの意思で私と一緒に帰ってくれるようにしたってこと?



「ま、簡単に言えばそうだね。秋月の意思で君を椎名から守ろうとした」


「…っ」



急に心に思っていたことに対して答えが返ってくるから驚く。


常に読心術を使われてると思うと何も考えられなくなる。


心を読まれて快く思う人なんていない。


出来ることなら読心術は使って欲しくないのが本音だけど。



「うーん。なら、なるべく使わないようにするよ」


「あ、ありがとうございます…」



まさか、使わないようしてくれるとは…


使って欲しくないとか、思ってみるべきだな。



まあ、これからは心の中で思っていても意味をなさなくなるけど。


読心術を使わなくなるということは、聞きたいこと知りたいことはちゃんと口に出して伝えないと。


思ったことは口に出さないとか…



「秋が真琴と居ようと思ったのは全て秋の意思ということね」