私…今、何を言ってたの?


秋夜さんに説教まがいのことを。いや、これはほぼほぼ説教と同じ。


しかも全てが支離滅裂だし。


結局、私は何を言いたかったのか今でも分からない。


だけど、一つだけちゃんと言うことは出来た。


それが、彼にきちんと伝わったのか不安だけど。


少しでも私の言いたかったことの意味が伝わっていたらいいのだけど。



「秋月…」



いつの間にやら秋月くんは私の前へと移動していて、秋夜さんも立ち上がっていた。


似た顔をした彼らが向き合っている。


さっきまで争っていた二人。



肩から流れ出た血が秋月くんの服を赤く染めている。


一方、秋夜さんは私が叩いた頬だけが赤くなっているだけで、服や体に汚れや怪我は見当たらない。


その真逆の姿が目に痛い。



「秋夜…」


「うぐっ…」



秋月くんが呟いたと思ったら次には秋夜さんが呻き声を上げしゃがみ込んでいた。



「とりあえず、一発殴らせろ」


「もう、殴ってるじゃん」



私に叩かれた頬と同じ所を彼が殴ったのだと分かる。


「いったいなー二人して…」



そう言う秋夜さんの顔はどこか嬉しそうで。


殴った秋月くんの横顔も微かに笑っている。



「馬鹿だな」


「確かに馬鹿だったよ」



彼女に気づかされた。秋夜さんが私に笑いかける。