「唯一無二の兄弟。好きだからこそ嫌い。君にはこの意味分かる?」


「マコト!」



秋月くんが駈け出す。


私の方を見ている秋夜さんは秋月くんのことなんて一切気にしない。



「邪魔しないでくれる?秋月。今、彼女と話してるんだ」



見ることもなく手だけで秋月くんを吹き飛ばす。


砂煙を上げ地面に倒れた秋月くんの姿が視界の端に映る。



「秋月くん!」



もう、やめてよ。もう、私のことなんて、放っといてくれてもいい。


もう、誰も傷ついて欲しくないのに。


なのに、私には何も出来ない。




「真琴逃げろ!」



お兄ちゃんが叫ぶ。


そんなお兄ちゃん、そしてその横に居る司さんに向けて秋月くんと同じように手を掲げ、衝撃波を放つ。



皆が倒れていた。


私を守ろうとしてくれていた三人が。


司さんが倒れたことでリョクさんも消えた。



そんな中、我が道を行く秋夜さんは訥々と語り出した。


自身の悲しく寂しい過去を…