いつもの自信満々の部長はどこへやら。


私を見ては俯き、口を開こうと顔を上げては俯くを繰り返す。



「俺…」



呟く部長が意を決したのか、勢いよく顔を上げる。



「やっぱり、水嶋のことが好きだ!…俺じゃやっぱりダメか…?」



顔を赤くして勢いよく言い放つ。


真っ直ぐ向けられる視線には今まで恐怖だと感じていた面影はない。


彼の本心が伝えられたのだと分かる。


私のことが好きだと。


部長、椎名 圭吾(シイナ ケイゴ)先輩は言った。


嘘のない純粋な気持ちを告白されたのだと理解した。


彼の気持ちを伝えられたのだ、私は。



「わ、たしは…」



今までのように流して流して逃げるなんてことできない。


こうやって、真っ直ぐ伝えられた言葉にはちゃんと返すしかない。


私も彼に真っ直ぐと。私の持ってる本心を。


好きだと。そう私が感じる人は一人しか居ない。



それは、申し訳ないけど、椎名先輩。


あなたではなくて。


私が好きだと、守りたいと思う人は秋月くんだけなんだ。