「発(ハツ)!」



札を飛ばし、力強く唱える。


すると、札は淡い光を放ち、それは段々と強くなり体全体を包み込む程。


目に見えて変化はないけど、術はちゃんと発動しているはず。


試しに幅跳びの要領で前へ軽く跳躍してみる。


普通だったらせいぜい1メートル半跳べたらいいところだろう。


それが、今の私はそれ以上の距離を跳ぶ。


そして、それ以上に3メートルは離れたところに居る要さんの背丈を越えて向こう側に着地した。



「…っと」



つま先から軽く着地するをうん。ちゃんと術は使えてる。


背後に立つ要さんを見れば彼も頷いていた。


それにしても。要さんを跳び越えるくらいもジャンプできるとは思ってなかったから自分でもビックリ。


それと同時に術が正常に発動できていたことにホッと安心する。


今まで成功するか失敗するかの確率は半々で、実際に動いてみないと分からなかったから。


今回は術が体に馴染む感覚が微かだけど分かった気がする。


ふんわりと暖かくなる。そんな感覚。


術が発動しないと、札は光を放つけれど体には反映されない。


何度も繰り返し術を発動してもなかなか上手くいかず。


発動したとしてもその効果は長く続かないこともしばしば。


それが、みるみる内に術が安定していって、発動できるようになった。


要さんが言うには私に素質があったからと言っていたけど。


果たして本当にそうなのかは疑問なところ。