「あの…」



こんな人に教えて貰うのかとなるとやはり不安だし不満。


だけど、司さんに言われたからには要さんに教えて貰わないと強くなれない。


それに、司さんが要さんに頼むくらいだ。


信頼してるからこそだろう。



「ああ。すまん。身体強化の術だったな」



コホンと一つ咳払いするとスッと表情が変わった。


司さんと同じ黒い瞳が細められる。



「じゃあ、これな」



司さんと同じように、どこからか大量の札を取り出す。


それを受け取れば始まるんだ。


これから始まる修行に少しずつ緊張を覚える。


身体強化の術というものが一体どんなものになるのか全然分からないけど。


強くなるためには必要なこと。


守られるだけの私じゃない。


守ることのできる自分になるんだ。


きっと強くなれる。


絶対に強くなれる。


要さんが渡す札を受け取る。


強くなるための修行が今日、この時から始まった。