バンッ!



「ぶっ!」



扉を開けた瞬間、変な音が二回立て続けに聞こえてきた。


一体全体なんなのよ。重たいし。


扉の向こうを覗くと顔に手を当ててしゃがみ込むお兄ちゃんの姿が…



「なにしてるの、お兄ちゃん」



冷めた声が口からついて出た。


聞き耳を立てていたのだろう。


そりゃ、冷たくもなる。


女の子の部屋に聞き耳を立てるなんて。


その証拠に顔の左半分だけが赤くなっている。


ざまあみろだわ。


そこをさすりながらゆっくりと立ち上がるお兄ちゃんに司さんが一言。



「馬鹿ね、凌」



見下すように言う司さん。


実際、見下ろしているが。


そんな彼女を見ながら一つ思う。



(本当に二人は付き合っているんだよね…?)



心配もなにもしない司さんに少し疑問を抱いてしまうのは普通だと思う。


あの時、司さんはちゃんとお兄ちゃんのことが好きだと思ったけど違ったの…?


なんか、この二人の関係性は謎だ。


でも、司さんは笑っているし、大丈夫。だよね。きっと。うん。多分。