家に帰ると玄関でいつもと違うところを見つけた。


家族の靴が数個並ぶ中、見慣れない綺麗なローファーが揃えて置いてある。


一体、誰の…



お兄ちゃんはスニーカーだから、お兄ちゃんのものではないし。


私は今履いているものしか持っていない。


つまりは、この家には一足しかないはずのローファーなのだ。


それが、置いてある玄関。



「あら、真琴。早いわね。おかえり」



玄関の扉が開く音が聞こえたのか。


リビングへと続く廊下の先からお母さんが顔を出す。


エプロンを首からかけ身につけているその姿から、おそらく夕飯の準備をしていたのだろう。



「ただいま。誰か来てるの?」



私がそう言うとお母さんはニヤリと笑みを浮かべた。


それはそれは、面白いものを見つけたと言わんばかりの笑み。


来い来いと手招きをして。



「凌が女の子を連れてきたのよ〜」



すごく美人よ〜そう言って、お母さんはリビングへと戻っていく。


お兄ちゃんが連れてきた美人な女の人…それって…!


つい最近会った彼女の顔が真っ先に思い浮かんだ。