「…京子。本当にありがと…」


「うん!どういたしましてっ」



私が気持ちを吐き出せば彼女は満面の笑みを浮かべる。


チラリと壁に掛かっている時計を見れば、部活が始まって一時間近く経っていた。


その間、私はずっと泣いていたのか。


道理で目の辺りがヒリヒリするはずだ。



「ははっ!真琴、酷い顔〜」



指をさし笑う京子に微かにイラっとしたが、私もつられて笑う。


彼女の心遣いが窺い知れたからだ。


イラっとしたけどね。


今回は大目に見よう。


京子のおかげで立ち直れるそうだし。



「京子だって、道着ぐしょぐしょじゃん」


「真琴のせいでしょ〜」



泣いた後にこうやって自然に洗えているのは京子が居てくれたから。


彼女が支えてくれたから私はこうやって笑っていられる。


うるさい所がたまにキズだけど。


それでこそ京子だ。


友だち思いの優しい子。


そんな京子が友だちで親友でよかった。



「もう、こんなんじゃ部活もできないし、帰っちゃおうか〜」



私の涙で濡れた道着を着ている京子。


私は私で泣き腫らした顔。


そんなんじゃ、普通に何もなかったかように部活に参加するなんてできない。


まず、この顔を人様に晒したくなんかない。


どんなものか、自分でも分からないし。



「そうね。帰ろ」



京子の意見に賛成の他ない。