「…っふ。秋は今はうちの居候よ」



司さんが微かに笑みを浮かべる。



「え…あの…」


「全部、顔に出ているわよ。凌と同じで単純ね」



自分の頬を指差し言う。


その時の顔が柔らかい雰囲気を醸し出していて、第一印象司さんのイメージからは想像出来ない表情。


クールな美人というイメージから一転。


こんな表情も出来るんだ…


柔らかい、思わずこっちも釣られるような綺麗な表情。



お兄ちゃんと同じと言われた時には少しカチンと来たけど。


司さんをこんな表情に出来るということは…



「司さん。本当にお兄ちゃんのこと、好きなんですね」



言葉の端々に見受けられる愛情になんだか私も嬉しくなる。


あんな、なんとも言えないお兄ちゃんのことを好きだと思ってくれる人が居るということが。



「な、何を言っているのよ…!」



顔を真っ赤に染め、司さんが慌てる。


その姿が面白くて、もっとからかいたくなってしまう。



「好き、ですよね?お兄ちゃんのこと」



私が問いかければ、司さんは赤い顔で睨みつける。


何だろう、認めたくないとか…?


そんな顔しても意味ないのにね。



とりあえず、分かったことは司さんはツンデレの天邪鬼ということね。


一人納得する私に暫く赤い顔が見つめていた。