他愛もない会話をしながら侑希と駅に向かって歩き出した。

「あれ?」

侑希が突然立ち止まった。

「どうしたの?」

「あそこに居るの、龍心先輩じゃない?」

侑希の視線の先を見ると、龍心が校門にもたれかかっていた。

「ほんとだ…」

途端に思い出す、今日の愛理のこと。

どうしよう…。

愛理に聞くべきか、龍心に聞くべきか…。

これはきっと大切なことだから、どっちに聞くか、重要だと思う。

どっちに聞こう?

今龍心に聞くべき?

「龍心せんぱーい!」

悩んでいるあたしのことなんてお構いなしに、侑希が大きな声で龍心を呼んで、駆けていった。

「おー、侑希。お疲れ」

「お疲れっす!先輩、心奈待ってたんですか?」

「うん、まあな」

龍心はいつだって、あたしのこと待っててくれるもんね。

そう言えば、置いてかれたことなんてほとんどないかも。

そんな龍心の優しさに、胸が締めつけられた。

「ごめんね、ありがとう」

あたしも龍心のところに来た。

「別に。行くぞ、母さん心配するし」

ぶっきらぼうにそう言って歩き出した。